- コラム
セキュアブラウザの長所と短所を比較!具体的なブラウザも紹介
インターネットの世界は便利で魅力的なものですが、同時にさまざまなリスクをはらんでいます。特にビジネスにおいては、情報流出が起こると信用問題にかかわるなど、業績に大きなダメージを与えかねません。
そんなインターネットをできるだけ安全に使うためには、セキュアブラウザを利用することです。
この記事ではセキュアブラウザの長所と短所、そして具体的なセキュアブラウザについてご紹介します。
セキュアブラウザとは?
セキュアブラウザとは、セキュリティ機能が充実したウェブブラウザのことです。普通のウェブブラウザのように自由にインターネットを利用するのではなく、リスクがある点については制限をかけることで、より安全にインターネットを利用できます。
セキュアブラウザとVDIの違い
セキュアブラウザと似た思想を持つものとして、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)があります。これは、パソコンのデスクトップ環境を仮想化し、サーバー上で稼働させるものです。
さまざまなセキュリティ対策がおこなわれているサーバー上で動いているデスクトップ画面を送り、そのうえで業務をおこなうことで、インターネットを利用する上でのリスクを下げることが可能です。また、オフィス内にいるときと同等の業務がオフィスの外でもおこなえるというメリットもあります。
ただし、VDIの導入にはコストがかかり、導入のハードルは比較的高いといえます。それに比べて、セキュアブラウザは基本的にソフトをインストールするだけですので、手軽に導入できます。
セキュアブラウザを使うメリット
セキュアブラウザを使うことにより、どのようなメリットがあるのでしょうか。
アクセス可能なURLを管理できる
セキュアブラウザでは、アクセス可能なURLを管理することが可能です。業務に関係がないサイトへのアクセスを制限することにより、セキュリティ性を高めるとともに、業務効率を改善することが可能でしょう。
URLの管理には、
- 特定のサイトへのアクセスのみを許可するホワイトリスト方式
- 特定のサイトへのアクセスを禁止するブラックリスト方式
- カテゴリでアクセスを制限するカテゴリフィルタリング
などが存在します。
さらに、スクリーンショットやテキストのコピーを制限できるものもあり、情報漏洩を防ぐのに役立ちます。
データ流出の予防になる
一般的なブラウザでは、ユーザーの利便性を高めるため、アクセスしたページのURLやダウンロードしたファイルが端末に残ります。また、次回アクセスしたときに快適にページが開けるよう、キャッシュも保存されるのが一般的です。
しかし、それらのなかに機密情報が含まれていると、そのパソコンの紛失や盗難時に情報漏洩が起こるリスクがあります。
一方、セキュアブラウザでは、使用中はデータが端末内に保存されるものの、終了すると自動でデータが削除されるため、万が一のときでも安心です。
使用可能なアプリケーションを制限できる
最近はブラウザ上でさまざまなアプリを動かすことができますが、それら全てが安全とは限りません。なかにはハッキングを目的としているものが含まれている可能性も。
セキュアブラウザでは、使用できるアプリの制限が可能です。信頼できるもののみ許可すればそれ以外のアプリは作動しないため、知らない間に不正なアプリによりパソコンが乗っ取られたり情報が漏洩したりするリスクを減らすことができるでしょう。
BYODの推進につながる
企業のなかにはそれぞれの社員が自分のデバイスを仕事に使う、BYOD(Bring Your Own Device)を導入しているところがあります。BYODには業務効率の改善やサポート工数の削減、デバイスにかかわるコストの低減につながるという特徴があり、企業にとってさまざまなメリットがあるといえるでしょう。
一方で、会社が管理しているデバイスとは違い、個人で管理しているデバイスは必ずしも十分なセキュリティ対策がされているとは限らず、このことが理由で導入の検討が進まない企業もあるのではないでしょうか。
これに対して、BYODによって持ち込まれたデバイスに対してセキュアブラウザの使用を義務付けることにより、安全性を高め、BYODの推進につなげることが可能です。
回線速度が遅くても使える
前に紹介したVDIでは、デスクトップ画面を丸ごと転送しなくてはならないため、ネットを通して常時大量のデータ転送が発生します。このため、回線速度が遅いと快適に使うことができません。
これに対して、セキュアブラウザの場合、通信については普通のブラウザと同等であり、特に高速回線は必要なく、インフラの面でコストを低く抑えることができるといえるでしょう。
セキュアブラウザのデメリット
セキュアブラウザにはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。デメリットも理解したうえで導入するようにしましょう。
普通のブラウザよりも動作が重い
セキュアブラウザは、前述のとおりさまざまなフィルタリングをおこなったり、キャッシュを削除したりするという仕様上、どうしても普通のブラウザに比べると動作が重くなります。これにより作業効率が落ちる懸念があります。
対策としては、メリットと矛盾するところではありますが、コストをかけ、高速なパソコンと高速な回線を用意する必要があります。
なりすましのリスクがある
多くのブラウザには使用している端末を特定する機能はなく、例えば、社員になりすましブラウザを介して社内ネットワークにアクセスされた場合、検出することができません。
セキュアブラウザのなかには、端末と機体認証IDを紐づけることで端末を特定できるものがあります。なりすましのリスクを下げるにはそのような機能を持つセキュアブラウザを選ぶ必要があるでしょう。
業務効率が下がる可能性がある
一般的なブラウザが多くの人々に使われ、インターフェースや操作性が洗練されているのに対し、セキュアブラウザのなかにはまだ歴史が浅く操作性に難があるものがあります。
一般的なブラウザを拡張して作られたセキュアブラウザもありますので、そのようなものを使うと慣れ親しんだ操作性で利用できるかもしれません。
代表的なセキュアブラウザ
セキュアブラウザの基礎知識を理解していただいたところで、無償で使える代表的なセキュアブラウザを具体的にご紹介します。
Brave
Braveは第三者機関の調査で最も高速なブラウザに選ばれたセキュアブラウザです。普通のブラウザも含めて最も高速とされており、セキュアブラウザでありながら快適な使用感が期待できます。
また、広告やトラッカーをブロックすることによりChromeやSafariといった一般的なブラウザに比べて最大6倍高速にページを読み込むことができ、個人データ収集を防ぐこともできます。
Firefox Quantum
Firefox Quantumは人気ブラウザのFirefoxから作られたセキュアブラウザです。Firefoxに操作性が近く、洗練されたインターフェースで使いやすいといえるでしょう。
ユーザーの行動を監視するCookieをブロックできるのはもちろん、Firefox自身がユーザーのオンラインでの活動を監視しないと明言している点も安心といえます。
Comodo IceDragon
Comodo IceDragonはアメリカのセキュリティベンダーが開発したセキュアブラウザです。実際にページをアクセスする前にそのページをスキャンし、悪意のある内容が含まれるか確認できる「SiteInspector」という機能が特徴的です。また、SecureDNSという機能により、有害なサイトをアクセス前にブロックする機能も搭載しています。
セキュアベンダーが開発したものでありながら無料で利用できる点も魅力的です。
Tor Browser
Tor Browserは高度な匿名性が売りのセキュアブラウザです。サイトを閲覧する際、匿名化ネットワークを経由してインターネットへ接続するため、サイト側からアクセスしたユーザーのIPアドレスがわからない仕組みとなっています。
WindowsやMacはもちろん、Linuxにも対応しているのもLinuxユーザーにはうれしいポイントです。Android版も用意されており、スマートフォンでの安全なインターネット利用にも役立ちます。
Avastセキュアブラウザ
Avastセキュアブラウザは、チェコのセキュリティ企業であるAvastが無償で提供しているセキュアブラウザです。日本で最もシェアの高いGoogle Chromeをもとに作られており、なじみのある操作性で快適に使えそうです。Chrome拡張機能にも対応しており、利便性も高いといえるでしょう。
また、広告ブロック機能に加えて、フィッシング詐欺対策やトラッキング防止機能など、セキュリティ機能も一通り揃えています。パスワードがインターネット上に漏洩していないか確認する機能もあります。
DuckDuckGo
DuckDuckGoとは、個人情報の収集を積極的におこなうGoogleなどの検索エンジンに対抗するものとして作られた検索エンジンであり、ブラウザも提供しています。徹底的にプライバシーを保護することを重視しており、Cookieなどのユーザー個人情報だけでなく、検索履歴の保存もおこないません。
ただし、単体のブラウザとしてはiOS版とAndroid版しかなく、パソコン版がない点に注意が必要です。パソコンの場合は、セキュアブラウザに検索エンジンとしてDuckDuckGoを組み合わせることで、よりセキュアな環境が実現できるといえるかもしれません。
PrizmDocとの組み合わせでさらにセキュリティ性を向上
セキュアブラウザ単体でもセキュリティ性の向上が見込めますが、PrizmDocと併用することで既存システムをさらにセキュアなものにすることが可能です。
PrizmDocはWebシステムに組み込む形のビューアであり、業務データや社内の機密ファイルをダウンロードすることなくWebブラウザ上に表示させることができるという特徴があることから、データ流出の防止効果が期待できます。
また、マルチデバイス対応となっているためデータの閲覧場所を選ばず、最近導入が進んでいるテレワークにも最適です。
さらに対応しているファイル形式は50種類以上と多く、セキュアな環境が構築できるだけでなく利便性も向上することでしょう。
PrizmDocを使ったセキュアなWebシステムをご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。