導入事例
D社「e-決裁」と「PrizmDoc」の組み合わせで決裁処理と文書管理をデジタル化
場所やデバイスを選ばない決裁が実現し、意思決定が
スピードアップ
北陸を代表する国立大学のひとつ、金沢大学。同大学は職員の業務負荷の増大に悩んでおり、これを軽減するための仕組みを模索していた。2020年、同大学はユーアイシステムが開発した国立大学向け電子決裁システム「e-決裁plus」を採用。この
e-決裁plusは電子決裁、法人文書管理、発翰簿管理の機能を備えている上、セキュアな文書共有を可能にする「PrizmDoc」が組み込まれており、システム内で取り扱う添付ファイルをWebブラウザ上でセキュアに閲覧・承認・決裁することが可能だ。今回の導入により文書がデジタル化されたことに加え、スマホやタブレットなどデバイスを問わず添付ファイルを閲覧できる環境が実現。決裁がスムーズに行えるようになり、意思決定がスピードアップするなど多くの効果が出ている。
国立大学法人 金沢大学
- 導入前の課題
- 紙とハンコで決裁処理を行っていたため、承認者が出張時などは決裁が滞るなど時間がかかり、意思決定の遅れにつながっていた。
e-決裁
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PrizmDoc
- 導入後の効果
- 国立大学向け電子決裁システム「e-決裁」に「PrizmDoc」を組み込んだ「e-決裁plus」の導入により、場所やデバイスを選ばない決裁が実現。意思決定のスピードアップに貢献している。
紙ベースの業務をデジタル化し
職員の負荷軽減を図る
北陸の中心都市、石川県金沢市にある金沢大学は、日本海側の基幹的国立大学である。その源流は1862年に設置された加賀藩彦三種痘所にまで遡るが、その150年以上にわたる歴史の中で、日本の高等教育と学術研究の興隆へ大きく貢献してきた。近年は、日本そして世界を取り巻く環境が劇的な変革期を迎えている中、同大学の憲章に謳う「21世紀の時代を切り拓き、世界の平和と人類の持続的な発展に資する」役割を果たし続けることを責務とし、イノベーションを起こし、ゲームチェンジを先導するための教育・研究を展開している。
具体的には、現在の大学改革のエンジンとなる基本戦略「YAMAZAKIプラン2020 Next Stage」において、社会システムの変革に即応し、持続的な競争力を持ち、高い付加価値を生み出すため“戦略的な教育・研究の強化と規模の拡大”“社会の多様なセクターとの有機的連携による学問の進展とイノベーションの創出”等の施策を掲げている。また、2021年4月には文理融合型の新学域「融合学域先導学類」を設置。さらに次世代モビリティ社会の実現を目指し「高度モビリティ研究所」を設置するなど、産学協同研究にも力を入れている。
このように大学改革へ積極的に取り組んでいる金沢大学だが、近年は職員の業務負荷の増大に悩んでいた。2004年の国立大学法人化以降、国からの交付金は減少しており、経営の効率化が求められてきた。その一方で、行政機構との関係が深いことから、決裁などを含めたさまざまな業務を紙媒体でやり取りする必要があり、システム化による業務改善がなかなか進んでいなかったのである。
金沢大学総務部総務課法規係の入口康彦氏は「簡単には職員の増員ができない中、業務負荷をいかにして軽減するか、仕組みを模索し続けてきました。そして課題解決のための有力な手段の一つとして浮上したのが、これまで紙媒体で行っていた決裁や文書管理業務をデジタル化し、スムーズに処理するシステムの導入であった」と当時の状況を説明する。
それまで同大学では決裁のほぼすべてを紙とハンコで行っていた。また、国立大学法人として決裁書類をはじめとする文書は、公文書管理法によって定められた管理を行う必要があるが、その労力はかなり大きかった。さらには、書類を保管するスペースが増え続ける、必要なときに目当ての文書がすぐに見つからないなどの問題もあった。こうしたさまざまな問題を、デジタル化によって解決しようとしたのである。
2019年、同大学はシステムの導入について具体的な検討を開始。2020年に一般競争入札でユーアイシステムの国立大学向け電子決裁システム「e-決裁plus」が落札した。なお、金沢大学は「e-決裁plus」のファーストユーザーとなる。
国公立大学における決裁と文書管理を
デジタル化し一元化する「e-決裁」
ユーアイシステムは1991年に設立。福井県鯖江市に本社があり、ネットワーク構築・保守サービスやソフト開発など、IT業務のほとんどの分野に対応している。これまで地元企業と直接付き合う中で、ネットワーク構築や通常の業務システム開発のほか、グループウェア(Lotus Domino)を使用したワークフローシステムの開発などを手掛けてきた。こうしたネットワークやグループウェアでの経験とノウハウを活かして開発したのが、2021年5月にリリースした国公立大学向け電子決裁システム「e-決裁」である。
同社、代表の坂下在良氏はその経緯について「十数年前から地元企業様とWebブラウザによる情報系のシステム(グループウェア)を開発していました。そのシステムが縁で6年ほど前に、地元国立大学様にスケジュール、電子決裁、電子申請、就労管理など、幅広い機能を持った統合グループウェアシステムを開発いたしました。その中の電子決裁機能が、『シンプルで使い勝手が良い』とユーザー様に高く評価していただいたことから、その機能を分離して再構成を行い、パッケージ化しました。それが、e-決裁です」と説明する。
e-決裁では、従来は紙媒体で回覧していた決裁書の処理をWeb上で完了させることが可能で、稟議決裁と法人文書管理をデジタル化し一元化できる。また、決裁された文書は、自動で法人文書システムに登録され、ホームページ上で公開させることも可能になっている。開発者の坂下友洋氏は、e-決裁の特徴について次のように語る。
「e-決裁は、電子決裁、法人文書管理、発翰簿(部署等で受発信した文書)管理の3つの機能によって構成されています。決裁文書の起案から承認、決裁までをWeb上で完結できることはもちろん、決裁ルートのパターンを定義して登録することもでき、多様な決裁ルートに対応可能です。また決裁の処理者や閲覧可能な職員は、組織に応じて細かく指定することができます」
近年、企業や自治体、教育機関などで電子決裁の導入が進んでいる背景には、文書の電子化保管を認めたe文書法(電子文書法)や、公文書管理法などの施行がある。公文書管理法では、政策決定過程を公文書として「記録」し、その文書を「保存」した上、重要な文書を確実に国立公文書館に「移管」することを規定している。e-決裁では、電子決裁、法人文書管理、発翰簿管理の3機能を備えているため、そのプロセスをすべてカバーできるのだ。
また、e-決裁は3年程度の周期で行われる国立大学の人事異動にも柔軟に対応している。
「職員管理機能を使って人事異動を事前に登録しておけば、異動時に即日対応できます。また、機能追加や他システムとの連携など高い拡張性も備えており、『かゆいところに手が届く』を実現させた画期的なシステムと自負しています」(坂下氏)
e-決裁とPrizmDocの組み合わせで
デバイスを問わず閲覧・承認・決裁が可能に
e-決裁では、電子決裁システムの基本構成において、添付ファイルをPDFとしてダウンロード・閲覧できるようにしている。そしてe-決裁の上位バージョンである「e-決裁plus」では、e-決裁とPrizmDocを組み合わせることで、添付ファイルをSVG形式(ベクター形式)に変換し、Webブラウザ上へ直接表示し閲覧やコメントができる。金沢大学が採用したのも、こちらのe-決裁plusだ。PrizmDocをe-決裁に組み込んだ理由について坂下友洋氏は「文書をダウンロードする必要がないため、情報流出の危険が少ないというのが最も大きいですね。そのほかに操作性が良いとか、ファイル表示のためのアプリケーションが不要というのも理由です。おかげで大量の関連文書があってもPCのみならず、スマホやタブレットなどでも容易に閲覧・承認・決裁することが可能になっています」と説明する。
組み込みの作業についても特に問題はなかったという。画面デザイン担当の本間郁子氏は「e-決裁が完成後、PrizmDocとの連携に入ったのですが、短期間でe-決裁の画面とシームレスに統合することができました」と語る。
e-決裁plusのもう一つの特長が、セキュアであることだ。クライアントへアプリ等をインストールすることなく、50種類以上のファイル形式の文書をWebブラウザで閲覧できる。また、表示するドキュメント自体をダウンロードする必要がないので、職員のPC等に保管された個人情報が漏えいしたり、ウイルスに感染したりする心配もない。シンクライアントのようなセキュアな運用が可能なのだ。
「大学としては個人情報の管理には非常に気を使っておりますし、公文書管理法などでも文書のセキュアで適切な管理を求めています。e-決裁plusは、こうした要件にもしっかり合致するものでした」(入口氏)
決裁処理がスピードアップし意思決定が迅速化
テレワーク対応やペーパーレスも実現
2021年3月、金沢大学は正式にe-決裁plusの運用をスタートした。現在の利用者は約500名。Webサーバー1台、 DBサーバー1台、サポートサーバー1台でシステムを運用しており、今後ユーザーが増加するとしても、最大1000名までは対応できる体制を確保している。
「e-決裁plusを使用した1カ月の決裁の総件数は平均すると約2000件になります。導入当初は職員にも紙とハンコが無くなることへの戸惑いがありましたが、すぐに慣れたようです」(入口氏)
e-決裁plusを採用したことによる一番のメリットは、意思決定が迅速に行えるようになったことだという。文書処理がデジタル化されたことで、紙とハンコが削減され、決裁完了までの時間が大幅に短縮された。
「以前は業務で毎日のように押印していましたが、今では押印する機会がほぼなくなりました。また以前は、上長が出張などで不在の際には承認がいただけず、決裁が滞ってしまうことがしばしばありましたが、e -決裁plusが導入された今では、例えば決裁ルート上の職員が出張中でも承認をもらうことが可能になり、意思決定が迅速に進むようになりました」(入口氏)
また、これはe-決裁plusの導入を検討していたときには想定していなかったことだが、一部の部署でフリーアドレス制を導入することとなり、その際にもe-決裁plusとWebブラウザ連携が大いに役立ったという。
このほかの効果としては、デジタル化によるペーパーレスの促進がある。同大学によれば、2020年度は前年度比で27%の量の印刷用紙を削減できたという。
「現在、当大学も環境への負荷の少ない物品等の調達を求めるグリーン購入法やグリーンICTへの対応が求められていますが、その推進を図っていく方針にも貢献できていると思います。また、ペーパーレス化が進んでいけば、文書の保管に使用するスペースが削減できますし、空いたスペースを有効活用できるかもしれません」(入口氏)
さらには、情報の検索性も向上した。以前、紙で決裁文書などを保管していた際は、必要な文書を探し出すのも一苦労であった。しかしe-決裁plusの導入後は、文書は自動でフォーマット変換され法人文書システムに登録される。これにより、必要な際に検索するだけで容易に閲覧することができるようになった。
e-決裁plusで業務のさらなるデジタル化を推進
今後のe-決裁plusの活用について金沢大学では、さらなる活用を進めていきたいという。
「まだ紙媒体で行っている業務が残っています。これは法や規制などとの兼ね合いもあるので、システムではどうにもならないものもありますが、可能な限りe -決裁plusの活用を推進していきたいですね」(入口氏)
そして、今回の導入におけるユーアイシステムの対応について入口氏は「前倒しの導入をお願いしたにも関わらず、スタートからe-決裁plusのシステムは安定して稼働してくれています。また、ユーザーが戸惑うことのないよう、使い方ガイドを作成してほしいと要望したところ、Web上にわかりやすい動画を作成してくれました。おかげさまで、各職員は操作などに迷うことがなく、スムーズに活用できています。今後も引き続きご支援いただければと思います」と語ってくれた。
電子決裁システム「e-決裁」に関するお問い合わせ先
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